庫裏庵さんから以下のお便りいただきました。
4月初めの日曜、縁有って都内ホテルで開かれた落語芸術協会の真打昇進披露にお呼ばれした。午前からの宴は昼過ぎにはお開きとなり、折角の上京なので帰る前に、桜満開のお江戸の散策をする事にした。休みの店の多い神田界隈や、混雑の上野、浅草界隈を避け、隅田川を越え、深川界隈を訪ねることにした。
やり過ぎた昼酒に後押しされ、深川ゆかりの作家池波正太郎気取りで森下の駅を出た。駅前には馬肉鍋のみの家がある。早速のれんをくぐり追い込み座敷の人となった。巨大な縁起熊手が見下ろす、小さな中庭に面した昭和レトロそのものの座敷で、馬肉鍋と燗酒を堪能しながら、その後の散策を考えた。
みの家を出て、深川不動に向け歩き始めたが、すぐに高ばしのどぜうの伊せ喜の前に出た。のれんが出ていたので、素通りするのもしのびなく、寄り込んだ。浅草の駒形どぜうの丸のままのどじょう鍋に対し、こちらは開いて骨を抜いた、ぬき鍋が売りの店だ。古いがよく磨きこまれた店内で、大ぶりのどじょうを山椒をきかせた柳川鍋に仕立てながら、ぬる燗を手酌した。
更によい心地になり店を出た。途中の、その昔舟路として開かれた小名木川の両岸の桜は、まさに絵に書いたような満開であった。どうにか深川不動と富岡八幡宮をお参りし、参道の伊勢屋できんつばを土産に買った後、みや古の深川めしで〆にしようかとも思ったが、浅草にも行ってみることにした。
浅草では、角の蛸松月がまだ開いていたので、蛸最中も土産にもとめ、鎌寿司に向かった。国際通り西側の静かな路地にあるその店は、ネタとシャリとサビ以外は何もないような、昔ながらの小さな店だ。小ぶりなトリ貝や、年越ししたのにこれまた小ぶりなコハダを肴にした。「煮ハマグリは手渡しでそのまま食べろ。」とか言われ食しつつ、更に盃を重ねたがこれ以上は帰宅出来なくなると思い、上がりをもらった。
帰りの電車は、乗り過ごしを恐れ、空いた車内を横目に、乗車口で立ち通すはめになったのだが。(庫裏庵)
ありがとうございます。下町散歩満喫、江戸情緒満開。素晴らしい休日でしたね!
こういうことがサマになるのはやっぱり大人ならでは。格好いいです。
先日取材でお邪魔したお鮨屋さんで、「食べていいよ」の中に煮ハマグリもあったのですが、私の口には入らず。食べたスタッフによると、
「噛めば噛むほど美味しさが増していく感じだった」
とのことで、返す返すも残念‥‥
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